マイベスト寿司コースを考えた
自分だけの「最高の一夜」を組み立てる
名店のおまかせに感動するたびに、ふと考える。「もし自分でコースを組むなら?」そんな妄想を、今日は本気でやってみた。握りと一品、それぞれに理由がある。
一品
コースの骨格をつくる、3皿。
白子
ぽん酢でさっと。冬のカウンターで最初に出てきたら、それだけでその夜に期待してしまう。とろりとした濃厚さと、きれいな塩味が酒を呼ぶ。
鮑
肝ソースで蒸し鮑を。噛むたびに磯の香りが広がり、旨みが積み重なる。江戸前の技術が最も映える一品のひとつ。
玉子
コースの締めくくりに。カステラのように甘く、しっとりした玉子焼きは、職人の腕が丸見えになる仕事。シャリと合わせても、単体でも。
握り
12貫、全部に意味がある。
しまあじ
白身から始める。上品な甘みと、ほのかな脂。まず舌を澄ませるところから。
金目鯛(あぶり)
皮目をさっとあぶる。脂が香ばしく溶け出して、身の甘さが際立つ。白身でありながら、少し表情が変わる。
マグロ(赤身)
白身の次は赤身へ。漬けにしてもよいが、今日はストレートに。滋味深い赤身の力強さを正面から受け止める。
中トロ
赤身から脂へ、自然な流れで。大トロより好きかもしれない。脂が甘く、でも赤身の力強さも残っている。このバランスが好きだ。
サーモン
王道。脂の甘みと、なめらかな舌触り。「サーモンはどこでも食べられる」と言う人もいるが、良いシャリと合わさったサーモンは別物だ。
赤貝
ここから貝へ。コリコリとした歯応えと、鮮烈な磯の香り。鮮度が全てを決める貝。良い赤貝に当たった日は、それだけで記憶に残る。
ホタテ
甘い。ただただ甘い。肉厚なホタテをそのまま乗せてほしい。素材が良ければ余計な仕事は要らない。
ボタンえび
甘えびではなくボタンえび。ねっとりとした甘み、弾力、濃厚な旨み。頭の味噌も欲しいくらい。
煮蛤
江戸前の仕事の粋。ツメをまとった蛤は、甘さと深みが同居している。これを食べると「江戸前で良かった」と思う。
ウニ
軍艦か、手巻きか。どちらでも良い。ただ、塩水ウニで。甘みと苦みと磯の香りが混然一体となる瞬間。
イクラ
ウニの後にイクラ。ぷちぷちとはじける旨みと、少しの塩気。濃厚なものが続くが、この流れが好きだ。
穴子
最後は穴子で。ふわとろの煮穴子に、ツメをたっぷり。口の中でほどけるように消えていく。これをもって握りの締めとしたい。
コース全体を振り返って
一品3皿・握り12貫。我ながら、かなり欲張ったコースになった。白身から始まり、脂もの、貝、濃厚な軍艦と続き、穴子で締める。江戸前の仕事あり、素材勝負あり、脂あり、磯あり。
妄想ではあるけれど、これに近いコースに出会えた日には、迷わず満点をつけると思う。